この記事は、印刷物を取り扱う初心者の方に向けて、油性オフセット印刷とUVオフセット印刷の違いについて説明します。
油性オフセット印刷とUVオフセット印刷における、メリット・デメリットをご紹介し、印刷に関する学びを深めて頂くことを目的としています。また、場合によっては印刷方法を適切に選択できるようになって頂ければ嬉しいです。
目次
油性オフセット印刷における印刷物の乾燥方法はインキと空気中の酸素との化学反応によるものです。
インキと空気中の酸素が触れ合うことで酸化結合し、個体被膜を形成するというメカニズムになります。
対して、UVオフセット印刷ではインキと紫外線との化学反応によるものです。
インキに紫外線を照射することで、光重合により個体被膜を形成するというメカニズムになります。
油性オフセット印刷とUVオフセット印刷を比較した際のメリット・デメリットをご紹介します。
UVオフセット印刷と比較して、コストが低いことがメリットです。
その理由としては、下のUVオフセット印刷のデメリットをご参考ください。
インキの乾燥時間が長いことや乾燥具合が一定でない場合があることがデメリットです。
これが引き起こす問題を下記に示します。
- インキを沢山盛ったベタベタな絵柄や、乾きにくい用紙を使うと乾燥までに数日間要する場合がある。→納期の長期化
- 酸素によく触れている箇所とそうでない箇所で乾燥具合に差が生じるため、裏写りや擦れ(印刷障害)が生じるリスクがUVオフセットより大きい。
インキが瞬間的に乾燥し、かつ乾燥具合にムラがないことがメリットです。
このメリットは以下のような効果があります。
- すぐに乾燥するため、印刷後、即製本加工に取り掛かれる。→短納期で仕上げられる。
- 乾燥具合にムラがないため、裏写り・擦れが生じるリスクはかなり小さい。
一方、油性オフセット印刷よりコストが高いことがデメリットになります。
その主な理由を以下に示します。
- UVオフセット印刷専用のインキで印刷する必要あり。油性オフセット印刷用のインキより高コスト。
- 紫外線照射を行うシステムを搭載しているため、消費電力が油性オフセット印刷と比較して大きい。
- UVオフセット印刷用のインキはその粘度が温度・湿度の変動に大きく影響される。それらは印刷の品質に影響を及ぼすため、精密な調温・調湿の管理が必要。そのため、設備を整え、運用しなければならないため、設備投資代・光熱費の観点でUV>油性。
チラシやパンフレットなどの汎用的な印刷物を製造するシーンにおいては、向き不向きはありますが、基本どちらの印刷方法でも印刷可能です。(特殊印刷の分野になるとUVオフセット印刷でしかできないことはあります)
その向き不向きの観点から、特に適正があるものをピックアップしてご紹介したいと思います。
- 特色インキを使用した印刷物
UVオフセットのデメリットのところで、インキのコストについて紹介しましたが、特色インキにおいてその差が顕著です。
場合によってはインキ1kgあたり2倍ほどの金額差があります。(UV>油性)
したがって、特色インキを使用した印刷物に関しては、コストの観点で油性オフセット印刷に適正があると言えます。
- 短納期の印刷物
- ユポなどの乾きにくい用紙を使用した印刷物
金額よりも納期が優先されるシーンでは、UVオフセット印刷に適正があります。瞬間的に乾燥するため、短納期で仕上げることができるためです。
また、ユポなどの乾きにくい用紙を使用した印刷物では、油性オフセット印刷 vs UVオフセット印刷では乾燥期間数日の差が生じることもありますので、UVオフセット印刷に適正があると言えます。
いかがでしたでしょうか。油性オフセット印刷とUVオフセット印刷の違いを理解して、印刷物の取り扱いに磨きをかけていただければ幸いです。
僕自身でこの記事に関してさらなる知識を身につけたら、リライトしてより詳しい記事に進化させていけたらと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。